第6回研修会を4年ぶりに開催しました。

 11月17日、東京港区新橋の航空会館で「第6回研修会」及び「懇親会」を開催しました。研修会の冒頭畑中会長が「コロナ禍もあり、本日の研修会は4年振りの開催となります。この間を含めて、環境保全や労働衛生面への関心が高まっており、ゴム業界を取り巻く各種法令なども変わりつつあります。そこで今回は、最新の各種規制などに関しての知見を有する企業や団体に、講演をお願いしました」とあいさつしました。

挨拶する畑中会長

2023年11月 挨拶する畑中会長

 まず「サーキュラーエコノミー(CE)と世界の潮流~樹脂とゴムのサーキュラー~」と題して、精練工業会会員の日東化工の親会社エンビプロ・ホールディングス中作憲展環境推進事業部担当常務が講演を行いました。中作常務は、CEへ積極的に取り組んでいる欧州の動向に関して説明しました。中でも2023年7月13日には欧州委員会によるELV(End of life Vehicle)規則案として、新車への再生プラスチック利用目標25%(2030年)が提案され、これはゴム業界にも関連する事項との説明がありました。

 また、経産省の動向や、国内でも近年大手タイヤメーカーがCEの道筋を示すようになってきたとの説明がありました。

 さらに中作常務はCEの概要の整理として、「CEでは、市場に一度投入された製品は徹底的に使い回され、製品としての利用価値が無くなった時点で再資源化される。資源は高度リサイクルにより再生資源材料としてサプライチェーンに供給されるとともに、エネルギー回収など資源循環の補完的な手法で価値の流出が最小化される」と解説しました。

 最後に日東化工と東洋ゴムチップが連動したサーキュラーモデルとして、両社連携でカーボンフリーな生産スキームが構築されてゴムのCE実現が可能となり、カラーゴムチップやゴムシートなど多くの製品が提案されていると紹介されました。

研修会場の様子

2023年11月 研修会場の様子

 続いて「今後の化学物質管理とリスクアセスメント~2024年4月の本格施行に向けた準備~」に関して、中央労働災害防止協会の構健一安全管理士・衛生管理士が講演しました。まず「化学物質管理規制見直しの流れ」として①2021年7月/化学物質規制について新たな考えを提言②2022年5月/新たな化学物質規制を省令改正③2023年4月/改正省令の一部施行(記録作成、容器保管時の強化他)④2024年4月/改正省令の一部施行(責任者選任、事後措置他)──という過程との説明がありました。

 この化学物質規制の見直しのポイントとして、まず「基本的事項」として①安衛法の規制対象物質を大幅に拡大②国による技術基準の整備が進行中③リスクアセスメントに基づき措置を考える④事業場に化学物質の人的資源を整備──を挙げました。さらに「技術的事項」として①濃度基準値が示される物質がある②保護手袋や保護眼鏡をして作業をする原則に③特別則の第三管理区分は直ちに改善措置──を挙げました。この「基本的事項」や「技術的事項」に関し、ゴム業界に該当事項があるかを、例を挙げて説明しました。この「化学物質管理規制見直し」に対応するには、「まずはリスクアセスメントの実施から」が重要と説明されました。

 このリスクアセスメントは、2016年以降安衛法で義務付けられており、重要項目として①取り扱う化学物質の危険性や有害性を把握②社内で化学物質取り扱い状況を把握③リスクアセスメントに基づき措置を考える──を挙げ、各項目ごとに事例を交えて説明しました。

 講演の後、部屋を移動して懇親会が行われ、久しぶりに懇親の輪が拡がりました。

2023年度臨時総会を開催しました。

10月5日から6日の間、「見学会」及び「2023年度臨時総会」、「懇親ゴルフ会」を、広島県広島市で開催しました。5日はまず「見学会」として、広島での開催にふさわしく「平和記念公園」を訪れ、おりづるタワーや原爆ドーム、記念資料館を見学し、ウクライナ侵攻や中東情勢など激動する世界情勢と重ね合わせ、平和を守っていくことを確認できました。

広島で開催された臨時総会の様子

2023年10月 広島で開催された臨時総会の様子

その後市内のホテルに移動し、「臨時総会」を16時から開催しました。冒頭畑中会長が「コロナ禍で中断していた宿泊を伴う総会を、4年ぶりに開催できうれしく思います。また世界情勢が激動している現在、広島での開催は意義深い事と感じています。我々を取り巻く環境はウクライナ侵攻長期化や化石燃料価格の高止まり、円安の長期化など、これまで以上に予断を許さない状況が続いています。

あいさつする畑中会長

2023年10月 あいさつする畑中会長

ゴム関連の動向としては、工業用ゴム製品(新ゴム量)や自動車国内生産台数の対前年増加などは明るい材料と言えます。しかし中国や欧州などの景気減退などに加え、地球温暖化や化学物質規制への対応、自動車のEV化加速、中長期的な課題も山積しています。

日本ゴム精練工業会としては、これらの環境下で会員各位の英知を結集し、ゴム精練事業の発展を共に目指して行きたいと願っています。またコロナ禍以降、徐々に再開してきた諸活動を更に活性化したいと考えていますので、会員各位のご協力をお願いします」と挨拶しました。

「臨時総会」では、①2024年度役員体制の件②今後の行事並びにスケジュールの件③会員各社の近況報告の件──の各議案に関して審議されました。2024年度役員体制に関しては、理事会で協議を重ねた結果、次の定期総会(2024年4月開催予定)において、会長=野田明志TPRノブカワ社長◇副会長=三井福太郎三福工業社長、曽我部吏モルテンポリミックス社長──で提案予定と説明され、満場一致で承認されました。野田理事からは、「先の会長在職の終盤はコロナ禍で満足な活動が出来なかったとの思いもあり、皆さんのご賛同と後押しがあるならば、もう一度本会発展のために力を尽くしたいと思います」との挨拶がありました。

今後の行事・スケジュールに関しては今年11月17日に「第6回研修会」、2024年春に「第7回研修会」、4月に「2024年度定期総会」、秋に「第8回研修会」を、さらに随時、理事会の開催が予定されていると説明されました。なおこれら各種行事は、引き続きリアルで開催する事、また関係団体との交流も検討する事などが確認され、満場一致で承認されました。

「臨時総会」の後、懇親会が行われ、翌6日には有志による懇親ゴルフコンペが開催されるなど、宿泊開催ならではのプログラムで大いに懇親を深めました。

2023年度定期総会及び説明会等を対面及びWeb併用で開催しました。

5月29日、「2023年度定期総会」及び日本ゴム工業会技能実習制度運営委員会小林伸也事務局長による「ゴム製品製造職種技能実習評価試験ホームページの紹介」に関する説明会を、東京大手町のサンケイプラザ303号会議室での対面と、Web出席併用により開催しました。なお対面での開催は、コロナ禍の影響により「2019年度臨時総会」以来3年半ぶりで、会場出席21人、Web出席12人、委任状4社となりました。

総会の模様

2023年5月 定期総会の様子

冒頭畑中会長が「今回の定期総会は、対面形式とWeb形式の併用での開催となりました。対面形式はコロナ感染拡大の影響で、3年半ぶりの開催となりました。この間に定期総会や臨時総会などをWeb開催しましたが、会場までの移動時間や交通費などが不要などWebの良さもありましたが、情報交換や親睦を深めるには、実際に対面しての開催が適しているのではないかと思います。今日は、久しぶりの対面開催なので情報交換や懇親を深めるために大いに役立てて欲しいものです」と挨拶しました。

挨拶する畑中会長

2023年5月 挨拶する畑中会長

畑中会長挨拶の後、主要議題の(1)2023年度役員改選について、(2)会員異動について、(3)2022年度会計報告と2023年度予算について、(4)アンケート集計結果について、(5)今後の行事について、(6)各会員近況報告について──の6議案について、審議などが行われました。

「役員改選について」は、昨年12月にWeb開催された「2022年度臨時総会」において仮承認された現役員体制の継続が満場一致で承認されました。

「会員異動について」は、コロナ禍中に社長交代などがあったエスイーシー化成、日東化工、宝来ゴム加工、モリタゴムの各社の新社長が紹介されたほか、伸越ゴムから伸栄商事への社名変更などが報告されました。

「2022年度会計報告と2023年度予算について」では、2022年度はコロナ禍で定期・臨時総会や研修会などの活動が無かったため、会費徴収は無かったものの、2023年度は定期・臨時総会の他、研修会や見学会に加えてゴルフコンペの開催など、コロナ禍以前の活動内容に戻すため、会費徴収を再開して活動を活性化することが提案され、満場一致で承認されました。

「アンケート集計結果について」では、正会員25社を対象に実施した「2022年度ゴムコンパウンド生産量」についての集計結果が報告されました。それによると2022年度の25社合計生産量は7万5,937トンで、21年度対比91.6%となりました。内訳は黒ゴム6万8,469トンで同91.8%、色物その他7,468トンで同90.3%となり、黒ゴム及び色物共に前年度の9割程度に留まりました。

さらにアンケート集計結果の中で、「現在抱えている課題」として、①設備が古くメンテナンスの必要性が急増、②電力費などユーティリティコストが大幅に上昇しており対応が課題、③人材不足、④材料価格の高止まり、⑤顧客への価格転嫁、⑥安衛法の新たな化学物質規制への対応、⑦半導体不足による設備や備品の納入遅れ──といった内容が特に多く回答されました。

「近況報告」では、出席及びWeb出席の正会員及び賛助会員各社が報告を行いました。それによると、売り上げは前年度から上向きつつあるものの、特に電力費の高騰が利益面を圧迫しており、「増収減益」の状況にあると大半の企業が報告しました。

日本ゴム工業会技能実習制度運営委員会の小林伸也事務局長による説明会

「2023年度定期総会」に続いて、日本ゴム工業会技能実習制度運営委員会の小林伸也事務局長による「ゴム製品製造職種技能実習評価試験ホームページの紹介」に関する説明会が開催されました。小林事務局長は(1)ゴム製品製造職種省令の追加の説明=①厚生労働省の職種認定について、②外国人技能実習制度の目的、③ゴム製品加工の流れ、④ゴム製品製造職種4作業の概要、⑤実習期間と試験内容について、(2)評価試験ホームページの紹介、(3)皆様へのお願い、(4)質疑応答──の各項目ごとに、図表を交え分かり易く説明されました。

説明する小林事務局長

2023年5月 説明する小林事務局長

説明会に続いて、隣の304号室に会場を移し、畑中会長や小林事務局長らを交えて20人以上が出席し「懇親会」が開催されました。懇親会では、3年半ぶりに集った会員の、活発な情報交換や親睦の輪があちらこちらで拡がりました。